こんにちは歯科医師の南里(なんり)です。
前回、「徹底した仕上げ磨き」という表現をしましたが、この「徹底した」
のところについて本日は少しお話を加えます。
今日の診療室から
2歳女児のAちゃん
生まれつき大きい持病があり
すでに数回の手術の既往があります。
もちろん、いま本人はいたって元気!
しかし一人目のお子さんでもあり、ここまでのご両親のご心配はいかばかりかと察します。
「体の病気が落ち着いたら、歯の心配が出てきた。病気の関係で甘い薬も飲むし、2歳になって仕上げ磨きもすごく嫌がるし… 」
どのお母様でも
最初のお子さんへの悩みは尽きないものです。
このAちゃん
半年前の初診のとき、
前歯には癒合歯(ゆごうし/となり同士の歯が付着しひとつの大きな歯になっている)があり、付着した部分の溝が深くて歯垢がたまりやすい場所がありました。
「この子は
その溝の部分だけ注意して磨けば良いです」とアドバイス。
「その部分だけ?」
とお母さんは目がテン。
お母様方にとって子育ては忙しく、ほかにやる事も悩みもたくさんあるものです。ですから、一人ひとりに合わせながらも私のアドバイスはいたってシンプルです。
またいつかお話ししますが、歯磨きと虫歯はあまり関連性が高くないと私は考えているので、このような助言になります。
「そのかわり嫌がっても、この溝は毎日必ず行ってください、その溝以外は適当で良いです」
「適当、テキトー?」
お母さん2度目の目がテン!
この先生大丈夫⁈と思ってらっしゃるかもしれません。
実際に2歳の子の仕上げ磨きを経験なさった方はわかると思いますが
一言で表現すると、大暴れです(笑
1歳の時と同じように嫌がって暴れているのですが、体が大きくなってきているので力が強くなり、
場合によっては親御さんが足まで使わないと抑えられません。
そんな嫌がる子に、親も慣れてないのでより丁寧にと長い時間仕上げ磨きを行う、ますます子供が嫌がる、
それでも
真面目な親ほど徹底してるのでお口すべてを磨いてしまう。
終わった頃は親も子もボロボロ、毎日お互い疲労感だけが… .
私がアドバイスする仕上げ磨きは、
暴れていても
その子にとって大切なポイントだけは、押さえつけてでも必ず歯ブラシを当てる。
しかし、残りの部分はそれなりに(テキトー)で良い。
そして全体で15秒程度で良いと伝えています。
もっとも機嫌が良い時は、親が納得するまでお好きなだけ… .
徹底した仕上げ磨きでもっとも大切な事は、毎日継続してるかだけです。
磨けてるかどうかは気にしない。
子供は仕上げ磨きが嫌だからこそ、毎日親が欠かさず行うかを見ています。
いやでも泣きながらでも、歯磨きは必ず行わなければならないことを伝えることがまず先なのです。
これを続けておけば
2歳半から3歳ぐらいになると、嫌がらず上手にできる回数が増えてきます。
親の覚悟を子供が体で理解をしたことになります。まぁ諦めただけなのですが。
ただし
体で覚えた事は一生忘れません。
これは
親にしかできない仕事です。
子供が予防を
無意識で行うことができれば
効果は一生続くのです。
子供へのまなざし3