こんにちは、歯科医師の南里(なんり)です。
歯科医院の現場から
子供を育てるすべての方々に
お役に立つようにと書いています。
小学2年男児のAくん
昨日学校でお友達とぶつかって
上あごの前歯をぶつけて、
今日もまだ少し痛みがあり、心配で来院されました。
昨日は、歯の周りに少し血が出ていたとお母さま。
お口の中を拝見すると
出てきたばかりの真ん中の永久歯が少し響いている状況でした。
処置は必要ないと判断し、今後の注意点をお伝えし経過観察となりました。
お母様はホッと一安心。
毎年、春先と学校が落ち着いてくる今頃は
子供の外傷が増えてきます。子供たちの活動量が春から夏にかけて、より増えてくるからだと思います。
ただ
意外と3歳以下のもっと小さな子は外科処置が必要とするようなお口のケガは少ないものです。
体重がまだ軽いので転んだりぶつかっても大きな力が加わらないこと、
また以前お出しした
パンダのシャンシャンの写真でもわかるように、小児もある年齢までは肉付きが良くモコモコムチムチしています。そこがまた可愛い年頃なのですが。その肉付きによって体が守られているのです。
逆に
学年が上がっていくにつれ、脂肪も取れ筋肉がつき、体重も重くなり動きも激しくなるので
その頃の外傷の症状は、歯が欠ける、歯が動く、歯が抜けてしまうと段々と重症になるケースが多くなります。
ですから私たち歯科医師は
急患でお電話があったときに学年を聞くことである程度の外傷の重症度が予測できます。
さてAちゃんのお話に戻しますが、
診察診断が終わってからも、Aちゃんは浮かない顔をしています。まだ不安そうな顔なのです。
実はこれは理由があります。
私は、診断を聞いてホッとしているお母様に尋ねます
「Aちゃんはまだ、元気がない顔をしていますが、なぜだかわかりますか?」
お母様は???
「ぜひお母様から、歯は大丈夫だったよと伝えてあげて下さい」
お母様が笑顔で伝えてあげると、Aちゃんも表情がやっと落ち着きました。
実は子供たちは、自分の症状を私たち歯科医師の診断を聞いても理解できません。
ですから必死になって母親の表情を見て自分の病気の状況を判断理解しようとしているのです。
Aちゃんは昨日ケガした時から、周囲の先生や親の表情で、自分のケガの状態を判断していたわけです。
歯医者に来るまでは、親も不安な状態なわけですから、Aちゃんは歯はちょっと痛いわ、周りは辛い顔をしているわで気が気じゃない1日だったのです。
つまり
子供達はいつでも親をじっと見ているのです。そして感じています。
親が悲しいと自分も悲しい
親が嬉しいと自分も嬉しい
『親の笑顔で子供は安心する』
覚えておいて下さいね。
このように
お口のケガは頻繁に起こるのではないので、関わる皆んなが動揺してしまいます。
私たち歯科医師はその中心となるので
過度の不安や誤解を起こさないように、迅速かつ安心していただけるように注意を払っています。
外傷の時には、それに加えて
関係者皆が注意することがまだあるのですが
それはまた次の機会にお話しします。
子供へのまなざし4