こんにちは、簡単でやさしい小児歯科を実践している歯科医師の南里(なんり)です。今日は一般歯科(おとなの歯科)の視点からお伝えします。
赤ちゃんからお年寄りまでが来院される一般歯科では、我々開業医はお口の一生を毎日肌で感じています。
歯が生え始め並んでいく乳幼児期・学童期の子供達。
歯の治療を繰り返す青年期・壮年期の患者さん方。
歯をなくし始める中年期・老年期の患者さん方。
毎日、人の一生を通じての歯を診ています。
ですから歳を重ねた方のお口の状態は、その方の人生そのものです。歯のレントゲン1枚あれば、我々歯科医師はその方の年代ごとの生活習慣まで言い当てることができます。
最近は少なくなりましたが70代以降になれば、全く歯がなくなって総入れ歯を入れる方も出てきます。その一方で同じ年齢でも、ご自分の歯で噛むことができる方もいらっしゃいます。
このように同級生でも大きな差が出てきます。歯に限らず、人生の後半となればいやでも違いを感じる現実に直面するのです。
お一人お一人のこの違いはどこで生まれたのでしょうか?
答えから言います。
歯が残ってない人は、治療を繰り返したからです。
そして歯が残った人は、治療しなくて済むことを繰り返したからです。
病気による治療の回数が少ない人は歯が残り、多い人は歯を失います。
当たり前のことですが、治療とは病気があるから行われます。歯科では悪い部分を除去して修復するというのが基本です。なぜなら歯は自然には治らないからです。必要となれば治療は一生を通じて行われ、その度に歯が減って治療は完了します。
治療が問題ではありません。
治療を繰り返したことが問題なのです。
治療が多いのは、あなたが病気を作り続けたからです。
今の歯科の先生たちは、できるだけ患者さんの歯を削らず、できるだけ神経を残して治療されます。毎回、患者さんのこの歯が長持ちするようにと願い治療を終わらせています。同じ歯を治療するのは切ないものです。治療の回数が多ければこの歯の寿命が減ると感じるからです。
人生100年時代の歯を残す考え方①
まずは治療して、今のお口全体を病気のない状態にしましょう。そしてひと通り歯の治療が終わったら、あなたのかかりつけの先生に、これから先、病気を作らず治療しなくて済む方法を相談してみてください。あなたの体の事は、かかりつけの先生が1番よくご存知ですから。
それを行わない限り、人は同じことを繰り返してしまい、長い長い人生の間、ずっと治療だけを繰り返してしまうのです。
今までと違う新しい取り組み、歯を守る取り組みが必要なのです。そしてそれを繰り返すことで上手になってください。
100年は、治療だけで乗り切ることはできないのです。